『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』

kenboutei2005-08-14

ようやく観ました。有楽町マリオン日劇。朝9時40分の回、JCBカード提示で1600円。
かつて、「ジェダイの復讐」の公開時、それを特集した雑誌で、中子真治による「これでもうスター・ウォーズが観られなくなる」という感傷に耽った一文があったのを思い出し、この「シスの復讐」も、観終わるとそんな気持ちになるのだろうなと思っていたが、実際は、もう少し違ったものだった。
意外とあっさりしていたなあ、というのが第一印象。アナキンがダースベイダーのマスクをつけた場面は、この映画のクライマックスといえるだろうが、個人的には、もう少し厳かに、さらにはもっと大げさにやってもらってもよかった。ジョン・ウイリアムスの音楽もやけに控え目だった気がする。
ストーリー的には、アナキンがダースベイダーになる過程を描いていることは誰もが知っていることなので、その予定調和な話の進み具合は、これまでのサーガを共有している観客としての心地良ささえ感じさせるのだが、観終わって冷静に振り返ってみると、単に善と悪とがライトセーバーで延々とチャンバラをしていただけだったのも否めない。
しかしながら、アナキンが、皇帝と戦っているウィンドゥを裏切り、とんでもないことをしてしまったという動揺とともに、あっという間に皇帝にひれ伏し、ダークサイドに堕ちてしまった場面は、秀逸だった。パドメを助けるためにフォース以上の力を求めていたことや、ジェダイ評議会への不信を植付けられていたという伏線もあるのだが、人間が堕落する時などは案外一瞬のうちにそうなってしまうものなのだと思う。ルーカスは、善人が悪人に変わるその一瞬を、うまく演出できていたと思う。(歌舞伎でいうなら、「十六夜清心」の百本杭の場での清心の「しかし、待てよ」の変心がそうだ。)
この場面でのヘイデンの演技も見事。(ヘイデン・クリステンセンのいっちゃった目つきは、ヤンキースのA・ロッドに似ていると思った。)
R2D2もC3POも、今回は本筋に殆ど絡めずに終わってしまったのは残念だったが、それでも戦闘場面では活躍できたR2に比べて、3POは出演場面そのものが極端に少なかった。
前回にも増して、ヨーダが活躍するのは嬉しかったが、パドメのナタリー・ポートマンの美しさはもっと堪能したかった。
それにしても、前作から今作までの間にも色々とサイドストーリーはあるようで、そこまでSWサーガに熱心ではなく、前作のクローン戦争についても、朧げな記憶しかない状態で観ていた者にとっては、登場人物の背景や、抗争の構図などを理解するのに、1度観ただけでは、十分ではないのだろう。
前知識の無さによる自身のテンションの低さも、観終わった時のあっさり感につながっていたのだと思う。膨大な情報量の特撮場面だけでも全然追いきれないし、いずれ、もう一度観てみたい。
これで、エピソード1から6までが揃ったわけだが、やはり自分は旧世代に属しているので、愛着感は圧倒的に、旧3部作の方が強い。(今作でも、宇宙船内が白いシンプルなデザインになっていき、だんだんエピソード4のイメージに近づいていくにつれ、何だか安心感を覚えた。)
もはや古典となっているEP4、5、6に比べると、新3部作には、物語としての決定的な何かが足りないような気がする。(それでも、六巻揃ったDVDボックスが出たら、多分買ってしまうだろうが。)