『最前線物語』

kenboutei2005-07-01

サミュエル・フラー最前線物語』。The Big Red One。
学生の頃、友人の家でビデオを見て以来なので、ほぼ20年振り。その時は、山田宏一のエッセイで紹介されていたのを機に見ることになったのだった。(確か和田誠の素敵なイラストもあったはず。)
どんな戦争大作映画よりも素晴らしい戦争映画であるという印象は今も変わらない。スピルバーグの『プライベート・ライアン』を観た時も、「『最前線物語』に比べれば・・・」と思ったものだが、今回、ノルマンディ上陸のシーンを観て、迫力とリアルさではスピルバーグに劣るが、やはり映画としての質が全然違うということを、再認識した。
リー・マービンのヘルメットに花を飾って手渡す少女(このシーンを和田誠が描いていた)、妊婦の出産シーン(日本には「いきむ」という、うまい表現があることに、当時友人と感心した覚えがある。)、そして、リー・マービンに肩車されたユダヤ人少年が、そのまま息絶えてしまうシーン。淡々と戦場を描く中での詩情溢れるエピソードが心を打つ。
チェコの戦線に赴き、ユダヤ人収容所のドアを開けた時に浮かぶ捕虜たちの眼差しの描き方などは、日本の劇画タッチ。80年の映画だが、70年代の雰囲気が漂う。
中古店で入手したDVDだが、画質があまり良くなかったのは残念(500円DVDでもないのだが)。
と思っていたら、スペシャル・エディションが発売されるそうだ。(さっそく予約してしまった。)

最前線物語
最前線物語
posted with amazlet at 05.07.02
ワーナー・ホーム・ビデオ (2000/11/23)
↓これも、勢いで注文。