文楽 二月国立劇場

kenboutei2005-02-20

疲れる疲れると言いながら、今回も一部から三部まで通しで観たのは、三宅坂の坂を自転車で何度も通いたくないからでもある。(特に冬場はつらい)
第一部
『源平布引滝』歌舞伎でよく観る「実盛物語」だが、九郎助内の前に、小万の立回りがあって、結構面白かった。歌舞伎でも一度観てみたい。三味線の団吾が、冒頭間違って、にやついていた。
『団子売』踊る前に、夫婦がお互いに「お臼!」「杵造さん!」と呼び合うのが、何度観ても微笑ましく、気に入っている。
第二部
『伊賀越道中双六』住大夫の「沼津」、玉男の十兵衛、簑助のお米という万全の配役だったが、印象は普通。住大夫はサラサラとした感じ。玉男はいつも通り。簑助のお米に色気が蘇ったのが、個人的には一番嬉しい。
『嫗山姥』綱大夫。もっと「しゃべり」が面白いと思ったのだが。こんなものか。歌舞伎でも解説ではしゃべりの面白さを強調しているが、大したことがない。
第三部
『阿古屋』以前にも観たことがあったが、今回は格段に良かった。阿古屋は人形が三人出遣い。簑助の主遣い、勘十郎が左手という贅沢。そして、三曲責めの人形と三味線のコンビネーションが素晴らしい。清志郎の胡弓も鮮やか。文楽の面白さを堪能できた。
『卅三間堂』いつも熟睡タイムとなっていたこの話、今日は面白く観れた。何より、文字久、津駒、千歳という三人の大夫の場割りのバランスが良い。文字久大夫の丁寧・真摯さ、津駒大夫の高音の艶、千歳大夫の情熱。住大夫以外の太夫陣の貧弱さをいつも嘆いていたが、中堅層も段々充実しているなあと感じた次第。(←何だか偉そうだな) 特に文字久大夫は、かつては「音痴?」とさえ思っていたが、あのNHKの住大夫と玉男にスポットをあてた番組の中で、住大夫にボロクソにけなされた場面が放送されて以降、見違えるように成長したように感じる。本日一番の聴きものだった。
予想に反して、三部が一番面白かった。