2月文楽 第一部

国立小劇場、文楽仮名手本忠臣蔵旅路の嫁入り九段目。九段目は雪転しから。文字久は、安心して聴けるようになった。切場は住大夫と十九大夫で分担。本蔵が出る前までを住大夫。つまりお石と戸無瀬の対決を語るが、この二人の語り分けがあまりはっきりしていなかったように思う。渡辺保によると、九段目はあの山城少掾も語らなかったそうで、やはり難しいのだろう。十九大夫になると、とたんに声量豊かな大迫力で、雰囲気ががらりと変わる。時代物かと思うほど。切場語り二人で挑むというのも凄いことだが、この二人だと落差があり過ぎて、非常に違和感があった。もっとも、今の住大夫一人で語りきるのは無理だとも実感。しかし、玉男がいないだけで、今の文楽ではほぼ最高の布陣での九段目ではあるのだ。うーん。
 それにしても、最近の文楽は盛況で何よりなのだが、客層がみんな通ぶっているのが気に入らない。これみよがしに拍手をする女性の何と多いことか。別に拍手するのはいいのだが、やり過ぎなんだよね。いくら太夫が気持ちいいからやってほしいとどこかでコメントしてるからといっても、隣でやられるのは大変迷惑である。

 (追記)9日の日経夕刊に、桐竹一暢の死亡記事。最近ずっと休演していたのだが・・・。8日に亡くなったとのこと。つまり、この舞台を観ていた日である。簑助や文雀、住大夫らは知っていてあの舞台を勤めていたのだろうか。本当に文楽界は訃報が多い。多すぎる。