小津「東京物語」

kenboutei2004-01-03

今日ものんびり。洗濯の後、小津の『東京物語』のDVDを観る。
もう随分昔に観て以来であったが、新鮮であった。一般には、成長した子供たちの親に対する冷淡さ、として紹介されているこの映画だが、今日思ったのは、子供側にもそれなりに理由があってのことで、小津自身も決して子供側を否定的に描いてはいない、ということ。むしろ、親の方も随分迷惑な行動をしているとさえ思ってしまった。最後の方で、香川京子が「世の中っていやなことばっかり」と嘆き、原節子がそれを受けるシーンがある。しかし、ここでの原節子はそういう嫌な世間の中で生きざるを得ないという、受動的ではあるが、決して否定はしない態度なのである。ここに小津のいいたいことがあったのではないかと思った。つまり、だんだん成長するにつれ、親子の間が離れていってしまうのは、子供が悪いのでも親が悪いのでもない、そういう世の中なのだ、ということを、極めて冷静に説明しているのである。小津は決してどちら側にも立っていない、ただその構造を暴いているだけなのだ、と思った。このように思ったのも、今の自分の状況に照らし合わせているからかもしれないが。
タイミングよく、実家から電話があり、どきっとしたが、たいした内容ではなかった。