11月歌舞伎座昼の部

kenboutei2003-11-23

歌舞伎座昼の部。富十郎が昨日から復帰したとあって、当日券売り場には発売時間前から行列ができていた。自分も一階東桟敷通路前の補助席しか買えなかったが、悪い位置ではなかった。
『石切梶原』仁左衛門の姿形の素晴らしさ。花道の出、袖をはねるような形にしているのが、文楽人形のようにみえる。黙って座っているだけでも美しい。
船弁慶一世一代の富十郎。体調不良で三日休んだ後の舞台ということもあって、全体的に迫力はない。しかし、逆にその分、儚さのようなものを感じた。特に前半の静御前が良かった。体格のいい吉右衛門の弁慶と比べると、一層その小ささが目立ち、それがむしろ置きざりにされる静の悲しさにつながっていたようにも思えた。後半の知盛は、あまり動きがない。花道の引っ込みの時、一旦止まって顔を突き出した時の表情に迫力があった。体調のせいか、短縮されていたようだったが、会場は熱気に包まれ、大向こうも気合いが入っていた。義経鴈治郎も気品があった。
『紅長』は、どうでも良い喜劇だったが、菊之助が出ていたので満足。「櫓のお七」で人形振りも見せてくれた。身軽なところが利点となっていたが、もっと派手に動いてもいいと思った。
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