5月歌舞伎座・夜 團十郎の暫

kenboutei2003-05-18

歌舞伎座夜の部。
『暫』團十郎の暫をついに観る。歌舞伎ファンになってからの念願だった。ほぼ花道七三の手前で、鎌倉権五郎を見上げるようにして。残念なことに團十郎は風邪で喉をやられたらしく、揚幕奥からの「しーばーらーくー」が妙に低い声で、しかも「しーば、らーくー」と途中で区切って言うので、迫力に欠けた。しかし登場して七三に来ると、その迫力に圧倒させられる。ぷいと横を向くしぐさも独特の愛嬌あり。やはりこの役は当代が最もニンにあるのだろう。舞台中央での元禄の見得にあまり切れ味を感じなかったのは、前日、浅草の三社祭の喧噪の中で惚れ惚れと見とれた、九代目の銅像の形の良さが脳裏に焼き付いていたせいかもしれない。
『髪結新三』。全体的に今一つ。菊之助の美しさが一番。辰之助いや松緑は、どうにも子供っぽい。
松竹サイト

(追記)31日の講演会で、渡辺保は、「團十郎の暫の顔の素晴らしさは、おそらく、今だけのものかもしれない」と絶賛していた。もっとも、「動くとまずい」とも言っていたが。