八月納涼歌舞伎第三部『法界坊』

kenboutei2005-08-20

串田和美演出の、勘三郎『法界坊』。浅草の平成中村座で観て以来。
舞台の両袖に羅漢台を作り、人形の観客を配置。これにより、横に長い歌舞伎座の舞台を、平成中村座の密着感の高い空間に少しでも近づける効果があった。(人形は、他にも仕掛けがある。)
黒衣を使った遊びなど、相変わらずの串田演出だったが、正直言って、若干食傷気味。
勘三郎の法界坊も、初演時の魅力が薄れた。滑稽で憎めない一方で、簡単に人を殺してしまう悪の凄みも合わせ持つ法界坊だが、今回は、凄みが全く感じられなかった。
大喜利の「隅田川」は、中村座の時と印象が違うなあと思って、帰宅後、「勘九郎箱」で確認。DVDは、大阪の平成中村座のものだったが、鐘入りがあったり、押し戻しの甚三郎が抱えているのが鯉そのものだったのが、今回と異なる。こうして比較してみると、野分姫と法界坊の切り替えが、今回の方が曖昧だった気がする。(観てるこちらが眠かったせいかもしれないが。)もっとも、押し戻しが抱えてくるのは、鯉より今回の巨大な一軸の方が絵的に好きだ。
宙乗りは、1階2等席だったので、ほとんど観られなかった。
勘太郎の勘十郎は、若すぎるのが難。(その点、大阪での笹野高史は、まさに適任だったようだ。)
七之助の野分姫はまずまず。
福助の要助が今日一番良かった。特に最初の花道からの出の姿は、上方和事の雰囲気(例えば、治兵衛)があり、美しかった。
亀蔵のエキセントリックな手代が見もの。
橋之助は(前回もそう思ったが)、全幕を通じ、儲け役。
終演後、カーテンコールとなったが、今回は要らない気がした。(観客人形の登場は面白かったが)
串田和美が自作したという、法界坊の人形は、非常にグロテスク。(歌舞伎座のポスターを初めて観た時は、一瞬ゾッとした。)

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「勘三郎箱」

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また、キャンセルするんじゃないだろうな、アマゾン(というより、松竹か)。
とりあえず、予約はしてみた。