市川海老蔵ABKAI〜えびかい

kenboutei2013-08-04

海老蔵の第1回自主公演、シアターコクーン
『蛇柳』
歌舞伎十八番の復活モノ。二代目松緑も手掛けていない演目だけに(戦後直後に東劇で演じられた記録があるが)、多少の期待はあったけれども・・・。
松葉目ものならぬ、柳葉目もの(?)構成的には『土蜘』や『紅葉狩』と同じ。
海老蔵は、前シテの方が良い。スッと立ち、肩を落として楚々と歩く。柳っぽさがある。後シテで蛇柳の精になるが、途中で早変わり。押戻しで再登場。『蛇柳』でなくなってしまった。
愛之助の住僧定賢が安定。
『疾風如白狗怒濤之花咲翁物語。』
「はやてのごときしろいぬどとうのはなさきおきなものがたり」と読ませるが、要するに『はなさかじいさん』。これを宮本亜門が演出している。
水田開発等で豪雨、村が荒れ果て、動物が人間に襲い掛かるという出だしは、文明批判で面白そうと思ったが、結局はただの昔話のパロディで終わった。子供向け文楽に書き換えたらよいかも。
海老蔵は、「ここほれワンワン」の犬と、悪い方のじいさんを演じる。良い方のじいさんは愛之助。おばあさんは上村吉弥。書き残すのも空しくなる。
海老蔵の犬が、『四の切』の狐風。甲の声が相変わらず。

終演後は渋谷で寿司をご馳走になる。