二月国立劇場 文楽 一部

kenboutei2011-02-06

自転車で行こうと思ったが、増殖している皇居ランナーを思い出し、地下鉄にした。(来週もそうなるだろうな。)
芦屋道満大内鑑』「葛の葉」。事前に山城少掾のCDを聴いて予習したのだが、切の嶋大夫の狐言葉が、全然違う。別の風なのだろうか、かなりの違和感。
文雀が休演で(大丈夫か?)、和生の葛の葉。堅実だがもっと派手さも欲しい。(特に道行は。)
人形なので、葛の葉は実際に狐になったりする。歌舞伎のような「恋しくば」の曲書きはない。
「道行」は、葛の葉狐の一人(一匹?)舞台。(本来は「信田の二人妻」だが、前半だけなので、「蘭菊の乱れ」として上演された。)狐の頭に黒塗笠を被せているのが、どことなく可愛らしかった。
「嫗山姥」文楽で観るのは初めて。八重桐の「しゃべり」、綱大夫が全くつまらなかった。音遣いの立派さはわかるが、台詞のイキやテンポに面白味がなく、退屈。緩慢にさえ感じた。ここの「しゃべり」は、歌舞伎ではいつも物足りなく思っていたので、本家の文楽に期待していたのだが。こういうものなのか。竹本座初演は誰が語っていたのだろう。(もっとも、近松藤十郎の台詞術を写してこの戯曲を書いたというから、ある意味、歌舞伎の方が本家なのかもしれないな。いずれにせよ、今日の床では、そんな江戸の昔に思いを馳せられるだけの雰囲気もなかったが。)
口の芳穂大夫が、まるで特徴はないが、それだけ素直な語り口で、今後に期待を持てると感じた。