『その後の蜂の巣の子供たち』

神保町シアター。先日観た『蜂の巣の子供たち』の続編。
続編ではあるのだが、物語の続編ではなく、『蜂の巣』の映画に出演したという事実を踏まえての、その浮浪児(蜂の巣の子)たちに関する続編という、不思議な半ドキュメンタリー。
だから冒頭に、前作で死んだはずの「よし坊」が登場した時は大いに戸惑ったが、すぐに記者のインタビューで、「死んでじっとしている演技は大変だった」というようなことを言って種明かしとなり、ちょっと安堵。
実際に監督の清水宏が伊豆に作ったという、自給自足の集団生活を描く。『蜂の巣』の映画に感動した女子学生が休日に手伝いにきて騒動を起こしたり、熱海の市長がアヒルを持ってきたり、また、えらい先生の出張授業で、気象の勉強をしたりする。(風速による風の分類を、アニメーションを使って説明する場面もあり、面白かった。)
新たに蜂の巣に加わった大柄な女の子と、前作でよし坊を背負った鼻の穴のいびつな子供とが、食事当番を巡って関西弁で激しく喧嘩する場面も、猛烈におかしかった。
主人公風の男の子のかつての仲間が蜂の巣に入り込み、みんなの持ち物を盗んで遁走したのを捜索するエピソードの場面が、途中で欠けていたのが残念。
生活拠点ができたことで、ロードムービー的味わいは薄れたものの、前作に引き続き、貧しく何もないのに、明るく豊かな気持ちになる、敗戦リアリズム映画の傑作。