三月歌舞伎座 第一部

kenboutei2010-03-14

歌舞伎座さよなら公演も、いよいよあと三月、四月を残すだけとなった。この二ヶ月は、三部制で有名狂言を並べる、松竹最後の荒稼ぎ。その結果、三大歌舞伎の一つである『菅原』は見取に分断され、『寺子屋』は来月になってしまった。(『賀の祝』は上演されない。去年の二月の「さよなら公演」で出したので、それで良しとしたのだろうか。)
『加茂堤』梅玉の桜丸、時蔵の八重、友右衛門の斎世親王、孝太郎の苅屋姫。梅玉の桜丸は、若さを強調しているせいか、少しこせこせした感じであった。時蔵は、萌黄の衣装がよく似合う。友右衛門の斎世親王に風格。但し、恋する皇子には見えないが。
『楼門五三桐』吉右衛門の五右衛門。「山門」一幕。比較するのは気の毒だが、昨日の橋之助とはやはり大違いである。古格の大きさというか、存在感そのものに圧倒される。ゆったりとした台詞廻しも立派。歌六歌昇の兄弟が捕り手に出て華を添える。菊五郎の久吉。「石川や・・・」の台詞は、「浜の真砂は尽るとも」。昨日の国立の扇雀は、「尽るとも」だった。
『女暫』玉三郎の『女暫』を観るのは二度目だが、前回より面白くなかった。あえて女荒事としての力強さを意識しているのか、台詞廻しがぶっきらぼうで、魅力に欠ける。何か口に含みものを入れて喋っている感じであった。幕外の吉右衛門の番頭とのやりとりが、一番良かった。
我當のウケ。松緑の鯰、菊之助の女鯰。
進之介が手塚太郎。久しぶりに観るが、より下手になったように感じたのは自分だけだろうか。
 
今日は一部だけで劇場を後にしたが、何だか物足りない。