スター・トレックと山口百恵

外は雨(らしい)。今日は一歩も出ず、ひきこもり。(もっとも連休中、ほとんどそんな感じだが。)
書棚整理もほぼ完了、ようやく「スタートレック・ファクトファイル」のファイリングにとりかかる。約3年半振りの本格作業。およそ20号分を、午前中いっぱいかけて収納。雑誌のページを一枚一枚剥がして床にならべ、順番通りに並べ替える作業は、結構腰にくる。まだ残り200号近くあり、とても一日で終える量ではなく、切り上げて昼食。(やっているうちに思ったのだが、このファクトファイルは、もはや書籍でもスター・トレックの貴重な資料集でもなく、ファイリング自体が目的の事務用品と考えた方が良い。ファイル作業を楽しむグッズ。全部ファイルしてしまえば、それで役目は終わったようなものだ。・・・そんなものに、いくら金をかけたのだろう・・・。)
昼食後、スカパーの無料放送時に録画しておいた、山口百恵の武道館ラストコンサートを観る。
百恵のデビューから引退までは、もちろんリアルタイムで覚えているが、テレビ番組を観る程度の関わり方だったので(妹は確か写真集を買っていたけど。あ、そういえば、一度田舎でコンサートがあって、商店街で相当な金額の買い物をしてチケットを入手し、地元の体育館まで観に行ったことがあったのを、今思い出した。)、好きなアイドルではあったが、このコンサートもニュース番組以外では観た事がなかった。
今回初めて最初から最後までじっくり観たのだが、これは凄いライブであった。地元の体育館のとはエラい違い。
約2時間半、トークは最小限に抑え、ヒット曲・名曲の怒濤のオンパレード。(もっとも、最初の2、3曲は聴き覚えのないものだったが。『プレイバック』の「パート1」があったことも初めて知った。)
阿木燿子・宇崎竜童コンビの楽曲はやはり興奮するし、個人的には『としごろ』を始めとする初期の作品をメドレーで聴かせてくれたのが、何とも懐かしく、嬉しかった。
それにしても山口百恵の立派なのは、トークが完璧であること。全く言葉を噛むことなく、また、「えー」とか「あのー」といった余計な詞もつけずに淀みなく話し、話したものを一語一句そのまま書き残しただけで、きちんと通じる立派な書き言葉になっている。プレゼンのお手本のような、こんな完璧なスピーチは、よほど講演慣れした者でもそういないだろう。ましてそれを、武道館のコンサートという大舞台で、わずか21歳の女性がやってのけるのである。
歌の見事さもさることながら、このスピーチの見事さの中に、それまでの彼女の経験の密度の濃さを思い知ることができる気がした。
さらにスピーチに関して言えば、その日本語の美しさにも感心してしまった。当時は何とも思っていなかったし、また当時だって昔に比べると日本語は乱れていると言われていたはずだが、今日の感覚で聴いてみると、30年前の女性は、こんなにも美しい日本語を話していたのかと、驚かされる思いである。
そして、彼女はこのステージを、(多少のダンサーの出演はあったが)ほぼ一人だけでこなしているのも凄いことだ。たった一人で、その歌唱力だけで、2時間以上も客を魅了し続けた、山口百恵という歌手の才能を、自分は、今この年になって知ったのである。
昨今のコンサートとは比較にならない程シンプルな舞台が、全く気にならない、いや、山口百恵自身がそこで歌っていさえすれば、華美なセットなど無用であることが、誰にも納得できるほどの、素晴らしいものであった。
歌い終わった時の表情の美しさにも、いちいち感動。
ラスト・ソング「さよならの向う側」の絶唱に、思わず落涙。
それにしても、これが21歳の女性(まだ女子大生の年齢だ)のパフォーマンスとはねえ。昔の歌手は、みな年齢以上に大人っぽかったのは確かだし、今の世の中が幼稚化しているのも間違いないことだと思うが、それ以上に山口百恵は、熟成し完成された大人の女であった。
彼女が当時から既に伝説化・神話化されつつあったのも、このビデオを観ればよくわかる。
特に深い理由もなく録画しておいた番組だが、これはもちろん永久保存。(妹にも見せてやろう。)
この連休中で、一番心に残る至福の時間であった。
・・・余韻さめやらず、ユーチューブの映像(色んなのがあるなあ)を観ているうちに、今日が終わってしまった。

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山口百恵も50歳になったのか。