紀尾井ホール、新内節

kenboutei2009-03-29

今年度最後の「江戸音楽の巨匠たち」。今回は新内節で、鶴賀若狭掾と富士松魯中をフューチャー。
新内はあまり馴染みがないと思っていたが、「蘭蝶」などは、鶴賀若狭掾が書いたものだという。今日の舞台では、同じく若狭掾が作った「明烏」の雪責めが出たが(浄瑠璃・新内剛士、三味線・新内勝一朗)、それを聴くと、まさに室内浄瑠璃で、義太夫節に比べると、力強さやパッションには欠けるが、品が良く洗練されている感じ。もっとも、語っていた新内剛士は、ゴツゴツした顔つきの兄ちゃんで、あまり新内語りには見えなかったが。
富士松魯中の方は「佐倉宗五郎」(浄瑠璃・鶴賀若狭掾、三味線・新内仲三郎)で、これも新内なのかと驚いた。
竹内道敬の解説によると、新内で語られる内容には、吉原を舞台にしているものが多く、その浄瑠璃本が、旦那衆にとっての、隠れた吉原ガイドブックになっていたという。なるほどねえ。
道敬氏の相手は、前回に引き続き徳丸吉彦。二人で、昔聴いたことのある新内流しの話をしていたのが、印象に残った。今回は徳丸氏が、時計を握りしめつつ、しっかり時間管理。
珍しく日曜日の開催。四ツ谷駅から土手の桜(と、宴の人々)を眺めつつ、紀尾井ホールへ向かった。