『忍術児雷也』

昨日、文楽を観る前、普段は決して近寄らない、六本木へ。シネマート六本木でやっている、「新東宝大全集」を観るため。神保町シアターに置いてあったチラシで、このイベントを知った。
今日は、大谷友右衛門主演の二本の映画を観る。友右衛門、すなわち今の雀右衛門の映画は、かつてスミソニアンで観た溝口の『噂の女』以来。有名な佐々木小次郎ものは、まだ観ていない。
まず一本目は、『忍術児雷也』。
タイトル通りの児雷也もの。歌舞伎でもお馴染み。
戦国時代(?)を舞台に、友右衛門が蝦蟇の忍術で、滅ぼされた国の仇を討つ。
大蛇が田崎潤、ナメクジが利根はる恵
「新東宝特殊技術陣」による、大蛇や蝦蟇、ナメクジの特撮がチープで楽しい。これでも当時(1955年)の子供は喜んだのだろうな。(でも、東宝特撮陣の方は、既に『ゴジラ』を作った後だが。)
友右衛門は、敵の城に腰元姿で入り込み、舞いを披露する。思わぬ女形の姿も堪能できて良かった。
田崎潤が、友右衛門以上の大活躍。まだ細面で、精悍な顔つき。小柄さを感じさせないエネルギッシュな演技は、黒澤明の『羅生門』での三船敏郎にも似ている。更に言えば、その朗々たる台詞廻しや堂々とした態度が、どこか中村富十郎をも思い出させるのであった。先日観た『海底軍艦』よりも、こちらの方が、田崎潤の魅力が横溢している。
特別出演の大河内伝次郎は、山伏姿での登場。これも黒澤監督の『虎の尾を踏む男達』の弁慶そのままなのが、面白かった。
新人の若山富三郎が初々しい。
友右衛門の妹役の新倉美子が可愛かった。
映像は露出が強過ぎ、白みがかって見にくかった。

新東宝名画傑作選 DVD-BOX IX-伝奇時代劇編-

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伝奇大忍術映画 忍術児雷也 [DVD]

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