はじめての祝辞

前の職場の部下が結婚するということで、結婚式の祝辞を頼まれる。よく聞くと、新婦側の主賓としての祝辞だという。友人としての祝辞は何度かしたことがあるが、主賓となるとはじめてのこと、そもそも身分不相応であり、固辞するも、カジュアルな式なのでそれほど気にせずに・・・とかなんとか、うまいこと丸め込まれて受けることとなった。(受けざるを得ない状況に追い込まれたというのが正しいか。)
ネットや立ち読みで挨拶の構成を覚え、とりあえず原稿を書く。最後のはなむけの言葉も、自分なりに考えて盛り込んだ。
声を出して原稿を読んでみると、ほぼ10分。暗誦すると、それ以上かかった。
ところが、ネットや立ち読みの情報では、挨拶は、主賓でも3分半程度、長くても6分以内が望ましいとの指摘。全然長い。
不要部分を削って、でもちょっとしたジョークも入れたいなとか欲張りの部分も残して、暗誦で9分程度に仕上がる。まだちょっと長いが、まあいいだろう。(昔の上司の挨拶は、20分くらい喋っていたぞ)
そして今日の本番。会場へ赴くと、とてつもなく豪華。出席者も100人近くいる。(当初は50人程度と言っていたのに!)待ち合いの席には、大臣も務めた現役の政治家が、普通に座っているではないか。
式場に案内された時点で、その無限に高いと思われた天井を見上げて、呆然となっていた。
人前式(これは恥ずかしいね)が済み、そのまま披露宴へと移行。
新郎側主賓の挨拶がはじまった。この挨拶が、非常に固く、まじめで、自分が考えた(カジュアルな)挨拶では、場にそぐわない空気となっていく。
これはまずいな、と思う間もなく、自分の挨拶の番がきてしまった。
案の定、大緊張。足の震え、声の震えが自分でもわかる。とてもジョークを言える心理状態でもなくなり、最後のはなむけの言葉は、急遽ごく一般的なありふれたものに切り替えて、何とか乗り切った。緊張で口調も早くなっていたので、たぶん5、6分で終わったと思うが、話している時は、永遠の長さに思われた。(今思うと、当初のスピーチにしておいてもよかったなあ。)
でも、もう二度と、ゴメンだ。