『ドラブル』

kenboutei2008-06-12

あと一本のところで、中断していたドン・シーゲル・ボックス鑑賞。ひと月振りに再開、ようやく最後の『ドラブル』を観る。
イギリスを舞台にしたスパイ映画。マイケル・ケイン主演。
英国諜報部のスパイ、マイケル・ケインが、自分の息子を誘拐され、身代金として諜報部が密かに調達していた軍資金のダイヤモンドを要求される。誘拐組織の名が「ドラブル」で、この映画の題名だが、原題は「The Black Windmill」、犯人が子供を誘拐して幽閉していた、黒い風車のことである。
組織内部にドラブルと通じているものがおり、マイケル・ケインはどんどん双方から追いつめられ、ついに自ら組織に逆らって、息子を救出する行動に出る。
どこかこれまでのスパイ映画のパロディ感も漂わせながら、マイケル・ケインを追いつめていく容赦のなさは、やはりドン・シーゲル。お馴染みのジョン・ヴァーノンの悪役ぶりに加え、ケインの上司役のドナルド・プレザンスの神経質な演技も楽しい。
一度は息子救出に失敗し、ダイヤもとられ、組織に拘束されたにもかかわらず、ドラブル側の方が再びマイケル・ケインを解放させるという予想外の展開に、これからどうなるんだろうと、結構身を乗り出して見入ってしまった。
ラストの銃撃戦も爽快であったが、内通者である組織の黒幕がその場を逃れたようなショットがあったため、話はまだ続くのかと思ったら、あっけなくエンドマークが現れ、何だか尻切れとんぼのような感じ。
とはいえ、実に見応えのある映画であった。
マイケル・ケインは、好きな役者。いかにも英国人的で、どこかジョン・レノンにも雰囲気が似ており、ジョンが生きていたら、こんな風に歳をとっていくのかな、と他の映画でケインが出てくる度に思ったりしている。

ボックスに付録の桑野仁の「ドン・シーゲル再入門」は、それほど面白くなかった。
(このボックス作品についての解説なら、こっちのサイトの方が良い。)

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