『尻啖え孫市』

録画しておいた衛星放送。三隅研次監督。
戦国時代、織田信長に抵抗した雑賀衆の首領、雑賀孫市の活躍を描く。
孫市に中村錦之助、信長に勝新太郎、秀吉は中村賀津雄。孫市と秀吉の交流が中心のため、萬屋兄弟の活躍を十分に楽しめる映画であった。
錦之助の切れ味良い台詞廻しと、賀津雄のバタ臭さが楽しい。
前半、意味もなく挿入される、勝新萬屋兄弟3人での馬競争や、浅井・朝倉勢との戦いでの、馬上からの銃撃シーンなどは、ジョン・フォードの西部劇を観ているよう。
夜の路地で刺客に襲われる孫市の場面は、暗闇から刺客の顔が一人ずつ浮かんでは、孫市を取り囲む様子を、照明をうまく使って鮮やかに演出。撮影の宮川一夫の腕が冴える。
後半登場するヒロイン、栗原小巻は、太い眉毛と大きめの鼻の穴が野暮ったい。むしろ、冒頭ほんのわずかしか登場しない、ねね役の梓英子に惹かれた。
足フェチの孫市が思い描くヒロインの足について、「さくら色の貝を並べたような足の指」と言っていたが、その映像場面は、確かにその表現がぴったりな、美しい足であった。
佐藤勝による、軽快なリズムと旋律の音楽も忘れがたい。
紀州雑賀衆については、よく知らなかったが、「信長の野望」のサイトに詳しい解説があって勉強になった。(今観ている大河ドラマ風林火山』にも役に立つ。)
BSの映画放映は、ノーカットで画質も良いので有り難いが、時々不自然に台詞が消されるのが、欠点。何とかならないものか。(ならないんだろうな。)

尻啖え孫市 [DVD]

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