『元禄俳優伝』
読了。
非常に面白かった。
坂田藤十郎、芳澤あやめ、市川團十郎だけでなく、水木辰之助、山下半左衛門、中村七三郎など、元禄歌舞伎を支えた役者のイメージを、当時の評判記から活写。元禄という江戸時代が安定期に入った時期に、今に繋がる歌舞伎のオリジナルを築いた役者陣の姿が、実にリアルに描き出され、役者絵を観る時と同じように、その時代へと思いを馳せさせ、イマジネーションを刺激する。
二代目團十郎からが、外の世界から来た親の世代とは違い、初めから役者として生まれてきた最初の世代である、という指摘も参考になった。
できれば、元禄前の役者だが元禄歌舞伎に影響を与えた嵐三右衛門や、初代團十郎の劇作家としての活動についても、言及してほしかった。
いずれ自分も、「歌舞伎評判記集成」をじっくり読んでみたい。