2006-08-15 「舞曲扇林」第二号覚え書き 前進座 備忘のため、一部抜粋。 p18 彼(永井荷風)は左團次に云っていた。 「そりゃあねえ、僕だって、今、どの株を買っておけば儲かるぐらいのことは解るけれどねえ…あの株上ったの、下ったのと云うようなことがどうもいやなんですよ…」 左團次も、いつものにこやかな表情で、うなづいていた。 p20 彼(左團次)は、最後期中村勘三郎を襲名すべく、その用意を整えた。これは左團次という名跡は市川門下である。中村勘三郎は座主の家柄で質もちがえば数段と上位である。自らそのくばり物なぞあつらえたりしていたが、六十一歳にして歿してしまった。