HOKUSAI 展

サックラー美術館の「HOKUSAI」展
何と言っても今回の渡米目的である。既に「西瓜図」が来ていないことはわかっていたのだが、それでも、門外不出でここでしか観られない北斎の絵を目の前にできる喜びで、胸が膨らむ。
いきなり、「富士と笛吹童図」の掛軸に釘付けとなる。
北斎独特の構図で描かれた富士山を前に、一本の木に腰掛けた少年が、笛を吹いている。少年は背を向けているのだが、着物からはだけて見えている、足と腕の形が愛らしい。どこか漫画タッチでもある。(そういえばサックラー美術館では、北斎とコミックの関連をテーマにした講演もやっていた。時間の都合で行かなかったが。)棚田状に流れる川と、うっすらと降り注ぐ雪(流れる川の水飛沫のようにも見えるが・・・)の描写が、幻想的な雰囲気を醸成している。
こんなメルヘンチックな絵も北斎なのかという驚きと、その詩情と静謐さに、しばし言葉を失い、ただただ立ち尽くしていた。
もうこの絵を観ただけで、アメリカへ来たかいがあった。
他には、「蟹尽し図」の賑やかさも面白かった。(カブトガニが描かれていたが、江戸時代は普通にいたのかな。)
日本での北斎展に比べて、展示数ははるかに少なかったが、一つ一つじっくりと観られる、至福の2時間であった。
大満足。
観終わって昼過ぎになると、観客も相当数となり、人気の高さを伺えた。
ギフトショップで、「富士と笛吹童子図」のプリント画とマグネットを購入。(やはりこの絵が一番人気らしい。)
他に、北斎の伝記絵本(!)も購入。西洋人の描く江戸の風俗が、ヘタウマ風でもあり、何ともいえず不思議。
さて、「西瓜図」に会えるのは、いつになることやら。