葬儀

朝、起きると、二階から妹の子供たちが降りてきた。先月の出張時に一度会っているが、実家で会うのは、祖父の葬式以来だろう。一番下の甥っ子とは、実家では初めてだ。
火葬場の後、本葬。昼過ぎに終わる。
昨晩、実家に戻る列車の中で、そういえば、自分は祖母の年齢も、名前さえ覚えていないことに気がついた。
年齢は90歳、名前は「きみ」と今日の葬儀で知った次第だが、そのことを妹に告げると呆れられた。もっとも、妹も、母方の祖母の名前は覚えていなかった。要するに当時の女性はあまり名前は重要視されていなかったのだと、妹には言い訳がてらに解説してやったが、結局母方の祖母の名前は聞き忘れてしまった。
しばらく疎遠だった親戚とも再会。が、既に田舎を離れて20年以上、話しかけられても覚えていない顔もあった。
葬儀が済み、慌ただしく片付け、実家に帰る。
遅い昼食をとってからは、することもなくなったので、近所の図書館に行ってみる。歌舞伎関連の棚で、すぐに読めそうな本を見つけ、しばらく読書。

赤川次郎は確かに国立劇場小劇場ではよく見かける。著作を読むのは初めてだが、案外左翼思想なんで驚いた。前進座の本を読んでいるような気がした。
口直しに(?)、土門拳の大型写真集の文楽編も眺める。駸々堂の簡易版を持ってはいるが、大型本だと迫力が全然違う。モノクロだが、いやモノクロだからこそ、人形が実に生々しく写されているのに、改めて感嘆。写真による人形遣いといったところか。
帰宅、夕食、早々と寝る。