海老蔵の『信長』

kenboutei2006-01-11

会社帰り、新橋演舞場で、『信長』。午後6時30分開演。前日チケットWeb松竹で購入し、当日、劇場備付の発券機で受け取る。便利になったなあ。こういう時間帯で、チケットも入手しやすければ、サラリーマンでももっと通えると思うのだが。
芝居の方は、可もなく不可もなくといったところか。
脚本自体は極めて凡庸。
桶狭間の合戦や、比叡山焼き討ち、本能寺の変など、よく知られた歴史的エピソードの中で、信長、秀吉、光秀は、全く類型的に描かれていて、そのキャラクターに新たな驚きはない。大河ドラマで観たことがあるような場面ばかりが続く。(桶狭間の前には、やっぱり「敦盛」を舞う。つい先日、『功名が辻』でもやっていた。)
もっと、海老蔵=信長の「狂気」を観たかった。
良かったのは、海老蔵の殺陣と、コスチューム。信長の洋装シーンは、一種のコスプレのようで、ファンには堪らないだろう。
前半、海老蔵の台詞廻しは、抑揚をおさえ、他の役者の台詞のリズムから外れている。若き信長の「うつけ」を表現しているつもりかもしれないが、単に投げやりな台詞廻しにも聞こえる。(歌舞伎の舞台でもそのように聞こえる時がままある。彼の悪い癖かもしれない。豊かな声量がもったいない。)
チラシにあるような、首周りにヒラヒラのついた衣装は、出てこなかったような気がする。
パンフレットが2,000円と、べらぼうに高い。(買っちゃったが)
海老蔵を観るだけなら、充分おすすめだが、それだけでしかない。
終演後、すぐまた幕が開き、一人残った海老蔵が観客に一礼して、再度幕。これがなければ終わった気がしないのも確か。