国立文楽劇場「仮名手本忠臣蔵」

kenboutei2004-11-08

というわけで、昨日、日帰りで大阪へ行き、日本橋国立文楽劇場で『仮名手本忠臣蔵』の通し。大阪への文楽日帰り遠征は、二年振り。
以下、思いつくまま。

  • 第一部は午前10時30分から午後4時まで。途中25分と5分の2回の休憩だけで、実質5時間かけて、大序から六段目までを一気に語る。平成12年9月の東京公演とほぼ同じ組み立てだと思うが、テンポ良く進むので飽きなかった。どの段もそれぞれ関連しあいながら進み、仮名手本忠臣蔵の構成のうまさに改めて感心した。
  • 千歳大夫が「花籠の段」だけというのは、もったいない。
  • 玉男の由良助は、もう何度も観ているのだが、今日はより心理的な由良助だったように感じた。判官切腹の段で、死んだ判官の手から短刀を取り外すところなど、極めて丁寧で、その分、痛切。
  • 第二部は午後4時30分スタート。七段目の平右衛門は英大夫。平成12年の時は亡くなった呂大夫だったのだなあ、としんみり思い出していた。
  • 九段目、山科閑居の段は、前半の戸無瀬、お石の対決を住大夫、後半本蔵が出てからが咲大夫。住大夫は、今年二月の国立で十九大夫と分けて語った時より良かった。戸無瀬とお石の語り分けが明確で、行き詰まる女の対決となっていた。咲大夫は十九大夫同様、情愛の薄い、大声だけの語りでつまらない。住大夫の後だと余計に落差が大きいし、同じ段なのに全く違う場面のように思えてならなかった。本蔵が主役になるとはいえ、その直前までのお石や戸無瀬や小浪の存在が全く消えてしまうような語りになるのは、いかがなものか。住大夫の体力の問題でこの大曲を二つに分けるのは仕方がないが、前後の雰囲気にもっと気を遣ってほしいものだ。
  • 本蔵が力弥に討たれ、師直の屋敷の図面を差し出すところで時間切れ、帰りの新幹線に間に合わせるため、劇場を後にする。
  • 今気がついたが、平成12年9月の時の配役とあまり変わっていない。もっと工夫があってもよかったな。
  • これは言っても仕方がないことなのだが、先代綱大夫のCDを聴いてしまうと、やはり今の大夫は・・・。

義太夫「仮名手本忠臣蔵」大全
竹本綱大夫(八世) 竹澤弥七(十世) 竹本織太夫 竹澤団二郎 竹澤団六 竹澤彌七(十世)
キングレコード (2002/09/04)

  • 次回の遠征のために行程等を記す。
    • 午前5時起床。5時30分出発。6時20分発のぞみ、8時56分着。
    • 地下鉄でなんばで乗り継ぎ、日本橋駅。所要約30分。(劇場へ向う通路で、三輪大夫、勘十郎に遭遇。)
    • 異常人気の東京とは違い、当日券は簡単に手に入るが、あぜくら会の割引がきかない(通し割引のみ)。大阪では「国立文楽劇場友の会」があるらしい。この統一性のなさは興行者としては致命的なものだろう。「東京が満員で大阪はガラガラ」と嘆いているのなら、この辺の利便性からちゃんと考えてほしい。
    • 午後8時30分、タクシーで新大阪へ。この時間なら地下鉄でも間に合うのだが、どの程度かかるのか試してみた。15分で到着、2,500円。
    • 20時53分発のぞみに間に合う。結構混んでいたが、何とか自由席で座れた。ちなみに最終ののぞみは21時18分。
    • 23時26分東京駅着。
  • 次回の大阪公演は一月だが・・・。