素浄瑠璃の会

kenboutei2004-10-23

国立劇場小劇場で「文楽浄瑠璃の会」。当日券補助席。ここ数年、異常人気で前売りが入手できない。まあ、素浄瑠璃なので別に舞台に近くなくてもいいわけだが。
まず、津駒大夫と寛治で「壺坂観音霊験記」。津駒大夫は好きな大夫だが、「壷坂」そのものの内容がつまらないので、印象が薄くなる。寛治の三味線の手が見事。
次に、住大夫と錦糸で「桜丸切腹」。この段は、越路大夫のNHKカセットを持っており、また、以前、渡辺保の講座で山城少掾のテープを聞いたこともあるので、それら先人(共に住大夫の師匠だが)の語りと比べると、やはり物足りないと感じてしまう。住大夫は、非常に丁寧に語っているのだが、それが逆に余裕のなさというか、冗長なつまらなさとなっているのではないか。もちろん、現役最高の大夫であり、他の大夫とは格の違う語りではあるのだが、聞いていてあまり面白くなかった。文楽の異常人気は、この住大夫と玉男の存在故だと思うのだが、実は既に二人ともピークを過ぎている(というか、衰えが隠せない)のも事実だと思う。まあ、自分も遅れてきた文楽ファンなので(山城も越路も生で聴いたことはない)、偉そうなことは言えないが。
最後に、高木浩志による、住大夫・錦糸へのインタビュー。これもここ数年恒例となっており、住大夫の「しゃべり」が面白い。「桜丸切腹」の宮戸ヲクリなど、このコーナーは勉強になる。