小山觀翁 

小山觀翁『歌舞伎、「花」のある話』(知恵の森文庫)読了。イヤホンガイドでお馴染みの著者だが、個人的にはあまり好きではない。しかし、長年歌舞伎を観てきているご老人として、その蘊蓄には傾聴すべきものがある。何と言っても、歌舞伎はより長く観ている人が偉いのだ。この本の中では、二代目鴈治郎襲名の経緯などが、自分にとっての「へぇ指数」が高かった。日本人は「お馴染み好き」で、それが芝居や他の日本文化にも影響を与えているという、著者独特の主張も、頷かされる点がある。それにしても、「エリート観客」などという表現を用いる著者の潜在的差別意識がどうにも鼻につく。